「やっぱり自分が目標に向けて努力して、その成果が試合で出せる時が、スケートをしていて良かったと思う瞬間。今季は自分のやってきたことをもう少し信じて、もし失敗しても次に生かせばいいという気持ちで努力していきたいです」

 平昌五輪では18位に終わった田中刑事(23)も、新たな4年のスタートだ。

「五輪を経験して、結果を出せないことの悔しさを痛感しました。もっと結果にこだわって練習しようと、すべての計画を一から見直して取り組んでいます」

 今季、4年ぶりに復帰した高橋大輔(32)と同じリンクで練習し、刺激を受けている。

「本気で練習している姿を見て、復帰は予想していました。憧れの存在ですが、それを超えていかないと世界とは戦えない。気持ちを引き締めています」

 また若手も台頭してきている。補欠から出場した18年の世界選手権で最高の演技をみせ、5位となった友野一希(20)は、今季は結果を求められるシーズンとなる。近畿選手権では高橋を抑えて優勝したが、反省しきり。

「4回転サルコウを2本とも失敗したことが何より悔しいです。できることができていない。GPでは、自分らしい演技で存在を示したいです」

 海外勢はスロースタートだ。18年世界選手権王者のネイサン・チェン(19)はエール大学に入学し、学業を優先しながら自主練をしているという。ジャパンオープンでもジャンプミスが多く、「GPに向けて、徐々に調子を取り戻したい」と話していた。

 平昌五輪4位の金博洋(ジンボーヤン)(21)は、ジャンプの助走の改善に取り組んでいるといい、国内大会でもミスがあった。華麗な4回転ルッツを武器に、シーズン後半には調子を上げてくるだろう。

 一方、日本女子は層が厚く、誰がGPファイナルに進出してもおかしくない情勢だ。

 平昌五輪4位の宮原知子(20)は、ルール改正に合わせてジャンプの大改造中だ。ジャパンオープンでは、珍しくジャンプミスが重なり得点は伸びなかったが、手応えはあったという。

「もっとジャンプの質を良くしたいと思って、高さや飛距離を出すよう、フォームを改造しているところです。去年までは、思い切りいこうと思ってもいざ試合になると『失敗したくない』と思って小さく跳んで無難に降りていました。今シーズンは、感覚が良くなくても思い切りいけているのは良いこと。まだ練習の成果が出せていないので、しっかり練習したいです」

 五輪6位と活躍した坂本花織(18)は、もともとジャンプがダイナミックで質の高いタイプ。新ルールへの対応というよりは、自身の変化を目指す。

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