お笑い芸人のマキタスポーツさんによる「AERA」の連載「おぢ産おぢ消」。俳優やミュージシャンなどマルチな才能を発揮するマキタスポーツさんが、“おじさん視点”で世の中の物事を語ります。
* * *
毎月苦しめられていることがある。数珠つなぎでやってくる“その日”を思いビクビクと怯えるのだ。厄介だが肯定せざるを得ないもの、難儀だが避けることが出来ないもの、男性の自分にはどうすることも出来ないもの……お分かりだろうか、「生理」のことである。
マキタがまたおかしなことを言い出したと思うだろうか。早合点しないでほしい。彼女らが苦しいように私も毎月苦しめられているのである。何にか? 家の女たちにだ。
我が家には「女性」が3人いる。正確にいうと、1年前から“大人”の女性が3人になった。それまでは妻と長女(高校生)だったのだが、ここに新たに小5の“女の子”が加わって3人出揃った格好になった。これで私の数的不利が決定的に。後方支援を期待したい。何故なら我が家には男がもう2人(双子)いるからだ。これで3対3。しかし残念ながら彼らはまだ3歳……戦力と呼ぶにはかわいすぎる年齢。無念。
今から数年前、長女が初潮を迎えた時、これは喜ばしいと思ったものである。我が家に訪れたこの慶事に、私は大袈裟でなく泣いた。それも束の間、今度は別の意味で泣いている。神の領域にあるそれは、私の都合に合わせて、妻と長女が一気にその日になってくれるような効率的設計になっていない。そうして「不機嫌の連鎖」が起こっていく。更にそこに次女が加わったわけである。もはや玉突き事故だ。
ある日の会話の再現。
父「部屋が汚い、掃除をしろ」
娘「腹が痛い、腰を摩(さす)れ」
会話にすらなっていない。仕方なく摩ってやろうとすれば、「気持ち悪い、触るな」と罵られた。どうすればいいのだ。
「うぐー、いだいー、ぐ、ぐるしい!いいか、よく聞け、生理中の女は何をやっても罪にならないんだ! よーぐおぼえでおげー!」
とは、生理時の妻の発言。