映画「君が君で君だ」(松居大悟監督)で初共演を果たした、池松壮亮さんと満島真之介さん。「会った瞬間に時間を埋められた」というほどの関係性は、俳優同士の枠を超え、熱いものになっていた。
――映画「君が君で君だ」は、大好きな女の子(キム・コッピ)を10年間見守り続ける3人の男たち(池松壮亮、満島真之介、大倉孝二)の愛の物語。彼らは自分の名前さえ捨てて、彼女が大好きな尾崎豊(池松)、ブラピ(満島)、坂本龍馬(大倉)になりきって生きてきた。
池松壮亮:松居大悟監督とは3本目の映画ですが、以前から「オリジナル作品を作りたい」と聞いていたんです。でも、0から1を作るのにはとんでもない時間と労力がかかります。同じ表現者として応援したいという気持ちがありました。ある日、松居さんから尾崎豊の映画を撮ると言われて「それならやる」って答えちゃったんです。でも、台本を読んだら全然尾崎豊の映画じゃない!
満島真之介:まさかだったよね。僕はブラッド・ピットを役として世界で初めて演じた役者になっちゃいました。それも日本で。歴史的なものになるんじゃないか、と実は感じていますよ(笑)。
池松:満島さんとはこれまで共演したことがなかったので、ようやくきた!って思いました。僕たちは2週間の撮影期間で10年の関係性を築かなければならなかったんですが、満島さんは感覚的なことをつかむのが速い。会った瞬間に互いに言葉にしなくても時間を埋める作業に取り組めました。
――3人は彼女の部屋を見通せる、向かいのアパートで暮らす。日々彼女が使ったモノを戦利品として集め、彼女の一挙手一投足を監視。女神のように崇め、時に踊りだす。女性から見たらほとんどストーカー。2人にも女の子を狂気的に見守りたいという気持ちはあるのだろうか。
池松・満島:ないです!
満島:正直なところ、3人が見守る対象は女性でなくてもよかったんだと思うんです。孤独なおじいちゃんでも、憎んでいる先輩でも。でも、それが松居さんの中では、ソン(キム・コッピ)という女性だった。結果論として女の子で、気づいたら10年経っていた、ってことだったのかな。