■わざとぶつかる その真意は
匠教授は、新宿の「ぶつかり男」についてはわいせつ目的の可能性を指摘しつつ、大半のぶつかり行為はそうではないだろうと分析する。
「故意に人にぶつかるというのは、一般的には、自分より弱い相手をターゲットにしたストレス発散、あるいは支配欲を満たすための行為だと考えられます」
支配欲を満たすとは、どういうことか。
「ぶつかることによって相手が転んだり、痛がったりするというのは、いわば相手を支配下に置いたということです。人はそれを確認することで、ある種の満足感を得られます。“いじめ”と同じ構図です。プライドだけは高く、小さな自尊心を持ち続けている人がこういった行為に走りがちと言えるでしょう」
また、スマートフォンを見ながら歩く人に対して、あえて避けずにぶつかっていく人もいる。奈良県に住む30代の女性は上京してきた際、スマートフォンの地図アプリで道を確認しながら歩いていたところ、前からきた男性とぶつかって転倒し、腕をねん挫した。