アフリカ北東部のスーダンから在留邦人を国外に退避させるための自衛隊の輸送機が、4月23日未明までにジブチに到着した――。自衛隊派遣などのニュースでこれまでも報道されてきた「ジブチ」。さらっと聞き流しそうになるが、どこにあるどんな場所で、なぜ自衛隊はジブチに行くのかわかる人はどれくらいいるだろうか。識者に聞くと「海賊対策がきっかけ」だったという。
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「インターネットが普及し、世界中に日本人がいる時代。有事の時はジブチの拠点が役に立ちますつ」
そう話すのは、日本国際問題研究所で客員研究員(外交、安全保障)を務める政治評論家の田村重信氏だ。
田村氏は、自民党の元職員で党本部の政務調査会を長く担当し、自衛隊の拠点をジブチに作る際の調査などで現地を訪れている。
そのあたりの経緯については後述するが、まずはジブチとはどんな国なのか、基本的なデータをおさらいしておきたい。
外務省のホームページなどによると、ジブチの正式名称はジブチ共和国。アフリカ東部に位置する人口約100万人、面積2万3200平方キロメートル(四国の約1.3倍)ほどの小さな国だ。旧フランス領で、1977年に独立した。首都も国名と同じジブチ。9割以上がイスラム教で、アラビア語やフランス語が使われている。
そんなジブチの「ジブチ国際空港」の敷地内に日本の自衛隊が初の拠点を設置したのが2011年。きっかけは、ソマリア沖の周辺で海賊が出没し、日本の船も襲われる事件が頻発したことだった。
外務省のある幹部がこう話す。
「もともとは地元の漁師が機関銃などで武装していたのが、海賊となって襲うようになったんです。日本の船も襲われるようになり、人質を取られ、最後は身代金の交渉となって100万~200万ドルで解放されるという事件が相次ぎました。彼らは豊富な資金で重武装し、アメリカの軍艦などとも交戦するようになりました。国連の安全保障理事会でも海賊を阻止する議決が採択され、日本もこのままでは、と自衛隊の海外拠点について論議されるようになったんです」