「技術的な難度ではエベレスト最難関です。世界トップのクライマーが挑んで、登れるかどうか、というレベルでしょう」。
事実、エベレスト南西壁の無酸素での登頂に成功した日本人はこれまでいない。
もっとも、このルート選択が、今回の死に直接つながった可能性は低い。
事務所などによると、栗城さんは現地時間20日夜、標高7400メートル付近のキャンプで体調を崩し、下山を開始。その途中で亡くなったようだ。栗城さんが無線に応答しなくなり、ヘッドランプの光も見えなくなったことから下部キャンプ近くにいた撮影スタッフとシェルパが捜索したところ、21日朝、栗城さんの遺体を発見した。詳しい死因はまだわかっていないが、事務所の発表には「低体温で息絶えた」とある。
では、栗城さんは、なぜ亡くなってしまったのか。
一部報道では悪天候の影響が指摘されたが、多数のエベレスト登山隊に気象情報を提供している山岳専門予報士の猪熊隆之さんは、天候に問題はなかったと話す。栗城さんが亡くなったとみられる21日やその前日は、エベレスト周辺は晴れで気温も高め。