当選確実の報道に、支援者らと万歳する岸信千世氏
当選確実の報道に、支援者らと万歳する岸信千世氏

 政治評論家の野上忠興さんも信千世氏には厳しい見方だ。

「保守層の票が入らなかったのでしょう。合区で新しくなる山口選挙区をめぐって安倍派と争う林芳正陣営が今回の選挙には非協力的だったと言われています。また、もともと信千世氏が当選する見込みが強かったことや、選挙活動を通じて、頼りなさが浮き彫りになったことが得票に響いたと見ています。今回の言動を見ていても、政治家になる準備ができていなかった印象です」

 今後、注目されるのが、信千世氏の待遇だ。信千世氏は、自民党最大派閥の安倍派に所属すると見られている。信千世氏に高い下駄を履かせ続けることもありそうだが、専門家はどう見るか。

 野上さんは、安倍晋三、岸信夫の母親である洋子氏の存在に注目したうえで、こう語る。

「内閣の一員として入るようなことはしばらくないと思います。ただ、洋子さんは政界の『ゴッドマザー』と呼ばれ、清和会(安倍派)を中心に信奉者も多い。洋子さんの存在を無視するわけにもいかないのでは。前清和会会長の森(喜朗)元首相らが、大事に育てようとする可能性も、ありえるでしょう。神経を使わざるを得ない存在になるのではないでしょうか」

 また、角谷さんは自民党の対応が問われる問題だという。

「通常の選挙であれば、当選すれば一回生となりますが、自民党内では補選だと0・5回生と言われたりします。今回の得票数では、党内では高い評価とはならないでしょう。一般的には、早ければ2回生の終わりころ、もしくは3回生の頭で政務官や場合によっては、副大臣を務めたりします。今回の選挙結果では、内閣の一員になるのはまだ遠いように思えますが、党内で甘い扱いを受ける可能性もあります。そこは党の良識が問われるところでしょう」

 批判を打ち消すほどの姿を有権者に見せることができるだろうか。

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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