――当事者でも母親と父親では感じ方が違いますよね。死産後のすれ違いから離婚した夫婦も紹介されていました。
赤ちゃんが亡くなると、肉体的にも精神的にも疲弊した中で死産届や死亡届の提出、火葬の手続きをしなければいけません。そしてそれを担うのはたいていの場合、出産の負担がない夫です。取材で話を聞いた方々の中には、淡々と事務作業をこなす夫を見て「悲しんでない」「冷たい」と感じる妻もいましたし、産後休暇で自宅にこもりがちな妻が、それまでと変わらずに仕事に出かけていく夫を見て、孤独を感じたというかたもいました。
ただ実際に父親に取材してみると、我が子の死を深く悲しんでいるのは同じでした。妻を支えて乗り切ろうと頑張り過ぎて、悲しみのやり場をなくしている人もいます。妻は家族や親しい友人と亡くなった赤ちゃんについて話したり、「天使ママの会」など同じ体験をした人とつながれる場も多いですが、夫にはそういう機会が少ないので、悲しみを消化できずに引きずっている人も。悲しみ方が違うだけで悲しみは同じだと気付いて互いを思い合えるかどうかが、赤ちゃんの死の後の夫婦関係に大きく影響すると思います。
(構成・竹下郁子)