こうだ・ようじ/1949年生まれ。元海将。2008年退官。著書に『北朝鮮がアメリカと戦争する日』(幻冬舎新書)など(撮影/編集部・野村昌ニ)
こうだ・ようじ/1949年生まれ。元海将。2008年退官。著書に『北朝鮮がアメリカと戦争する日』(幻冬舎新書)など(撮影/編集部・野村昌ニ)
この記事の写真をすべて見る
はんだ・しげる/1955年生まれ。東京新聞論説兼編集委員。著書に『「北朝鮮の脅威」のカラクリ』(岩波ブックレット)など(写真:本人提供)
はんだ・しげる/1955年生まれ。東京新聞論説兼編集委員。著書に『「北朝鮮の脅威」のカラクリ』(岩波ブックレット)など(写真:本人提供)
ごみ・ようじ/1958年生まれ。東京新聞論説委員。著書に『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』(文藝春秋)など(撮影/編集部・野村昌ニ)
ごみ・ようじ/1958年生まれ。東京新聞論説委員。著書に『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』(文藝春秋)など(撮影/編集部・野村昌ニ)

 いまだ緊張が解けぬ米朝関係。今後、米朝衝突はあるのか、ないのか。その可能性を「0%」にする方法もあるようだ。

【この記事の写真の続きはこちら】

 米朝の軍事的な衝突は起こり得るのか。専門家の意見は、真っ向から対立している。

「全ての状況証拠から、もはやアメリカが武力攻撃しない理由は見つからない」

 元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏(68)は、米国は北朝鮮への軍事行動に踏み切ると断言する。

「状況証拠」とは何か。

 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は新年の辞で、「アメリカ全域が核攻撃の射程圏内にある」とICBMの実戦配備を宣言。通常軌道による発射未実施など、現時点で「兵器化」は難しいが、北朝鮮は開発を続け、今後も技術を向上させる。このままでは本当の核保有国となるが、米国がそれを許すはずがないという。融和ムードもあるが、「核保有国」への野望に満ちた正恩氏が米国の求める「非核化」に応じる見込みはないと見るのだ。

「最後はトランプ大統領の決断となるが、北朝鮮がアメリカ本土を射程に入れる核ミサイルが完成間近であることを察知すれば、躊躇なく軍事行動を起こす。期限は、真夏の8月ごろが限度だ」(香田氏)

 米朝衝突を巡っては同様の論考は少なくない。しかし、一方で米国は北朝鮮を攻撃できないとの見方も根強いのだ。

 確率は「0%」。こう言明するのは、安全保障や自衛隊の問題に詳しい東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏(63)だ。

「トランプ政権が誕生して1年以上経つが、いまだ国防総省の主要スタッフが任命されていない。しかもトランプ大統領はロシア疑惑を抱え、11月には中間選挙を控える。それらの対応に追われ、戦争どころではない」

 米国が北朝鮮を攻撃した場合、中国がどう考えるかも不安要因。そして何より、米国が北朝鮮を攻撃すれば、北朝鮮からの攻撃でソウルは壊滅的な被害を被ることになり、日本も無傷ではいられない、という。

「アメリカが自らの同盟国に多大な被害を及ぼす選択肢を選ぶとは現状考えにくい」(半田氏)

次のページ