今回の改正では、約25年かかってもできなかった格差解消のために、2016年12月、先行する形で具体的なガイドライン案が出されました。このガイドライン案を見ると、現場でどう対応すればよいか、ある程度予測できるでしょう。改正法と一体となったガイドラインに沿って対応しなければ、裁判で違法と判断されて、「過去にさかのぼって差額を支払いなさい」という判決が出ることになります。

――公務員など、法改正の対象から外れる労働者もいます。

「同一労働同一賃金」はパートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の3法の改正になりますが、公務員は、パートタイム労働法などの適用除外とされています。しかし、非正規公務員の待遇格差も深刻な問題となっており、法改正や予算措置なども含めた対応が検討されています。

――企業の負担が増えますね。

 今回の改革の目的の一つは「成長と分配の好循環」を取り戻すことです。待遇改善のためには賃金原資を増やさなければなりません。そのために、労働時間を削減したり、商品やサービスの価格を適正に引き上げたりすることが、各企業にとって重要な課題となります。

 つまり働き方改革は、生産性の向上を図り、長時間労働を是正し、賃金を引き上げてデフレ脱却を目指しつつ、成長と分配の好循環を実現するための「経済政策」でもあります。各企業の内部留保を資金原資に回すことも、労働分配率を高める一つの方法です。働き方改革は、人事労務担当者だけの課題ではありません。経営者も含めて取り組むべき、大きな改革です。

(編集部・澤田晃宏)

AERA 2018年3月12日号

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