休息や休養はなぜ大切なのか? 八重洲ブックセンター本店副店長の木内恒人さんがおすすめする『自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質』(折木良一著)は、働きすぎと言われる日本人こそ読んでおきたい一冊だ。
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経営戦略はもともと軍事戦略を応用して考案されたものだが、大きな違いは経営戦略のほうは失敗しても命まではとられないのに対し、軍事戦略の失敗は死(あるいは国家の存亡)に直結するところである。
東日本大震災の時に自衛隊のトップだった著者は、大ヒット映画「シン・ゴジラ」に登場する財前・統合幕僚長のモデルになった人物でもある。その軍事戦略のプロが数万人規模の大軍を率いた戦略を立てる際に重視するのは、意外にも「休息・休養を取らせる」こと。軍事用語で「戦力回復」というそうだ。
企業の経営戦略では、この考えは無視かあるいは後回しにされがちで、ある意味で軍事のほうがよっぽど人を「生身の人間」として見ている。
自衛隊員も会社員も、何でも計画通りにこなせるスーパーマンではないのである。
※AERA 2018年3月5日号