アメリカ海軍安全センターによると、2017年度(16年10月~17年9月)に米国やそれ以外の国に展開する米海軍と海兵隊で起きた航空機の重大事故の合計件数は前年比で3割多い20件。特に海兵隊は05年以降で最も多く、飛行10万時間あたりの重大事故率も同期間で最悪となった。
今年7月には米南部ミシシッピ州で海兵隊のKC130空中給油機が墜落し、乗員16人全員が死亡するという痛ましい事故も起きている。
軍事の専門家らによると、訓練中の事故の増加は国防予算の削減と密接に関係しているという。米国の軍事費は2010年をピークに減少を続け、その影響から機材の更新や整備、訓練に必要となる十分な費用が確保できなくなった。昨年末にトランプ政権に代わってから国防予算は一転して増額されたが、軍内部の態勢が回復するまでには時間を要する。
こうした深刻な状況に、軍関係者は危機感をにじませる。米共和党の重鎮で、元海軍将校のジョン・マケイン上院議員もその1人。9月に開かれた米連邦議会の軍事委員会では、こう警鐘を鳴らした。
「過去3年間に戦闘で亡くなった米軍人は44人。一方、訓練中には185人が死んだ。いまや訓練中の事故で亡くなる米軍人のほうが、戦闘で命を落とす数よりも多いのです」
(ジャーナリスト・桐島瞬)
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