だが、仮想通貨は家族などにも知らせずに取引していることも多い。都内の20代の会社員は、「数年前に勉強のためにビットコインを買い、ずっと保有しているが家族には言っていない」と話す。さらにスマホアプリなどのウォレット(電子財布)で管理していると、通常本人しかパスワードはわからない。
「まず家族や相続人に、自分は仮想通貨を所有していると知ってもらうことが重要です。それに加えて、『自分が死亡した際には取引所に連絡する』といった具体的にとってほしい行動を伝えてください」
と、伊勢田さんはアドバイスをする。遺族が「知らない」ことが余分なリスクにもなりかねないからだ。前出の丸山さんはこう警鐘を鳴らす。
「たとえ、故人の仮想通貨の保有やウォレットから取り出す方法を相続人が知らなかったとしても、課税対象にならないことはありません。むしろ、税逃れとされる危険もあります。なるべく早くから相続の対策をしてください」
(編集部・長倉克枝)
※AERA 2017年12月25日号