49歳のときに米グーグルのNo.1デザイナーになった韓国出身の女性がいる。彼女の名は、キム・ウンジュさん。韓国で勤めていた会社を27歳で辞めて、渡米。簡単な英語のフレーズすらまともに話せない状態で始まったアメリカ生活だったが、その後はモトローラやクアルコムなどでキャリアを積んだあと、グーグルに入社。25年間で10回の転職経験をした彼女がグローバル企業で身につけたこととは――。著書『悩みの多い30歳へ。世界最高の人材たちと働きながら学んだ自分らしく成功する思考法』(CCCメディアハウス)から、ここでは「英語恐怖症から克服できた特別な勉強法」を紹介する。
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20代後半だった1998年、私は大学院留学した夫を追ってアメリカにやってきた。英語は中学生の頃に諦めて、大学でもギリギリF(落第)を免れたレベルだったから、ほとんど英語ができない状態で無謀にも海外生活をスタートしたというわけだ。基礎すら身についていない状態でサバイバル術として英語を学び、なんとか生き延びてきた。
ディスカッションはアメリカの文化でもあるが、グーグルでは私がこれまでに勤めた企業の中でも特にその能力が求められる。ソリューションよりも問題を定義することに魂を注ぎ、なぜ今これを自分たちがやらなくてはいけないのかを何度も確認する。自由な社風の中で社員が自らやりたいことを探し、やりたくないことはやらない。
そのため、人の心を動かす「影響力」が最も重要なスキルの1つとなる。影響力を発揮するには、論理的な思考と話術が欠かせない。
グーグルに入社してからの1年間、真っ暗なトンネルをさまよいながら下した結論がある。「私はこの先、かなり長い間アメリカで働くことになるだろう。英語を避けて通ることはできないのだから、今やるべきことは努力と勉強だ」
そう覚悟した私は、すぐさまオンラインのブッククラブに入会した。6人でグループを作り、英語の書籍を月曜日から金曜日まで毎日1時間ずつ朗読するという集いだ。2020年1月から現在まで、会社員・主婦・母親としての1日を終えた22時からの1時間を自分のために投資している。最初はとにかく何かやらなければという一心で始めたことだが、期待以上の効果が出ている。誰かの役に立つことを願って、私の体験談をご紹介したい。