このほど発表された17年のノーベル物理学賞は、ワイス、ソーン、バリッシュの3人に輝いた。ドレーバーは晩年、認知症を患って英国へ戻り、前述したように今年3月7日に亡くなった。残念ながら死後の人間には、ノーベル賞は与えられないのだが、彼らの功績は今なお続く。10月16日にあったLIGOの発表だ。

「中性子星衝突による重力波を検出、光でも観測に成功し、金など重い元素の起源に迫る」

 ここ2年余りで、ブラックホールの合体4件に加え、中性子星衝突まで捉えられるとはなんと速い進展なのか!

 この発見にはいくつもの意味がある。「中性子星」とは太陽の20倍程度までの質量を持つ星が壊れた後の、いわば星の成れの果て。半径10キロ程度だが、重さは太陽ほどあり、その構成物質はなんと「茶さじ1杯で10億トン」もある。中性子星連星の衝突時の重力波は、持続時間が長いなど、ブラックホールと区別できる。例を積み上げれば、その不思議はもっと解明されるだろう。

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