宇野昌磨がグランプリシリーズ第2戦スケートカナダを制した。女子では期待の本田真凜が5位。それぞれ、心に秘めた目標がある。
「羽生結弦(はにゅうゆづる)選手(22)に対する気持ち、自分がすごく憧れているんだな、ということに、改めて気づきました。だからこそ、いつか勝ちたいという気持ちがいつの間にか芽生えていました」
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダで優勝し、GP3勝目を挙げた宇野昌磨(19)。大会が終わった後の10月29日、羽生への思いをそう語った。
ショートプログラム(SP)は103.62。シーズン序盤ながら自己ベストにあと1.25と迫った。自分でも「動きすぎて、やばい」と言うほど切れがあり、ジャンプで高得点を稼いだ。
一転、翌日のフリースケーティング(FS)では「体が昨日の半分くらいしか動いていない」。そんな調子でも大崩れしなかったところに、宇野の成長が見えた。傾いていたジャンプの軸を演技中に修正すると、演技終盤の三つの連続ジャンプ全てを成功させて、197.48。合計301.10。団体戦や国際スケート連盟(ISU)非公認の大会も合わせれば、5戦連続の300点超えを達成した。
羽生の300点超えは2戦連続が最多であることを引き合いに、スポーツ紙は「羽生超え」と報じたが、本人が求めているのはそんな「勝利」ではない。
宇野が羽生を尊敬するのは、「追いかけられ、すごく注目される立場であれだけの堂々とした演技。そしてどんどん成長していく。守りに入らず、どんどんどんどん毎年成長している」
からだという。
「もちろん試合で勝ちたいとは思うんですけど、試合でたった一回勝つというのとは違うと思っている。同じような存在になりたい。同じくらいの位置に自分もいけるようになりたい」
目標は大きい。
女子では、本田真凜(16)がGPシリーズデビューを果たした。SPではミスを連発して10位、フリーでは目立つミスをすることなく3位。総合で5位になり、
「今できることはすべて出せた」と本人は満足げだった。