ビジネスでのコミュニケーションツールとして、企業向けSNSが注目されている。LINEは今年2月から、企業向けに「LINE WORKS」を、フェイスブックジャパン(東京都港区)は企業向けに「Workplace」を5月から国内で本格的に開始した。実際に導入した企業は、このツールをどのように浸透させ、活用しているのか。
昨年6月からいちはやくWorkplaceを導入した土屋鞄製造所(東京都足立区)は、1階が工房で、2階にオフィス業務のスタッフが勤務する。対面でコミュニケーションがとりやすい職場環境だが、社員数が増えたこともあり、部署間をまたぐやりとりをしやすいようにと、販売促進の部署を中心に使い始めた。
広報室の三角茜さんは、メディア掲載情報など参考情報の共有のほか、「この資料があるフォルダはここです」といった、ちょっとしたやりとりもWorkplaceのチャット機能を使う。スマホのアプリも使うが、常にデスクのパソコンの画面にWorkplaceのページを開いている。
「ちょっとした確認はWorkplaceで投稿をして、『いいね』を押してもらって完了するので、意思決定が速くなりました」
と話すスタッフも。当初は2階で使っていたが、最近、工房の職人にも導入することにした。
見逃せないのが、スマホでの利用だ。LINE WORKS利用者の9割以上はスマホやタブレット端末といったモバイルから使っている。
「ほとんどの方はスマホですね。スマホを使うことで、外出先でも対応ができるし、写真や動画も送れる。迅速かつ豊富な情報量のやりとりが可能になりました」(ワークスモバイルジャパン執行役員の萩原雅裕さん)
CM制作などを手がける制作会社のAOI Pro.は、打ち合わせや撮影などで外出する社員が多い。今年1月からWorkplaceの利用を始めた。もともと社員全員にiPhoneが貸与されているが、メールやショートメッセージサービス(SMS)など、コミュニケーションの手段はバラバラだった。社内の情報伝達スピードを上げるため、Workplaceの導入を決めた。
約450人の社員全員のアカウントを作り、社用iPhoneにアプリを導入。部署やプロジェクトごとにグループを作り、日常的なやりとりはそこでする。
「制作部で撮影小道具が急遽必要です。どなたか持っていませんか?」「次の撮影でキャストを探しています。知り合いにいませんか?」