簡単に貸してくれる銀行カードローンですが…(※写真はイメージ)
簡単に貸してくれる銀行カードローンですが…(※写真はイメージ)
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 銀行カードローン問題が「炎上」している。批判に押され、金融庁も立ち入り検査に乗り出したが、着地点はまだ見えていない。

 年収が約1千万円(手取り約800万円)もある40歳代の男性会社員は、妻と2人の子どもがいながら、競馬にのめりこんで散財。消費者金融や銀行カードローンの借り入れで2600万円もの借金を抱え、行き詰まって弁護士のもとへ駆け込み、個人再生手続きを申し立てた。

 9月に出版した拙著『強欲の銀行カードローン』(角川新書)で紹介した一例だ。

●簡単に貸してくれる

 かつて多重債務問題を引き起こした消費者金融は、改正貸金業法によって総額で年収の3分の1以下しか貸すことができない。一方、銀行は貸金業法が適用されず、好きなだけ貸せる。冒頭の男性も消費者金融では合計300万円余までしか借りられないが、実際に2300万円超はメガバンク、ネット銀、地銀などのカードローンから借り集めたものだった。「とにかく借りるのが簡単だった」と男性は振り返った。

 銀行のカードローンは無担保で目的も問わず、決められた限度額の範囲ならいつでも好きなだけ借りられる。消費者金融とほとんど同じ業態ながら、消費者金融にかかる厳しい規制は課せられない。銀行業界は、日本銀行の大規模金融緩和が始まった2013年ごろからカードローンに本腰を入れ、貸出残高は5.6兆円と、この4年間で1.6倍に増えた。急伸の陰で、破綻していく人も増えている。

 この問題は昨年秋、日本弁護士連合会がカードローンによる過剰融資で破綻した事例を集め、意見書として政府や全国銀行協会に提出。銀行も消費者金融と同様に、原則年収の3分の1以下に抑えるよう求めた。今年に入ると自己破産の増加傾向が色濃くなり、朝日新聞を含む一部のメディアが問題視して火がついた。読者の関心は高く、国会でも取り上げられるなど、火の手は今も広がりつつある。

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