パテの重さは約113グラム、高さは約7センチ。赤みは野菜のビーツで演出。満腹になったが植物性のためか消化は速かった(写真部・小原雄輝)
パテの重さは約113グラム、高さは約7センチ。赤みは野菜のビーツで演出。満腹になったが植物性のためか消化は速かった(写真部・小原雄輝)
「欧米では健康面や動物愛護の視点から、肉を少なめに摂取する『フレキシタリアン』などの言葉も生まれています」(写真部・小原雄輝)
「欧米では健康面や動物愛護の視点から、肉を少なめに摂取する『フレキシタリアン』などの言葉も生まれています」(写真部・小原雄輝)

 世界で植物由来の代替肉の需要が高まりつつある。通常の肉とカロリーは据え置きでコレステロールゼロ。日本への上陸も近そうだ。

 米国ニューヨーク、ハドソン川近くの高級スーパーWhole Foods。精肉売り場の一角に「THE BEYOND BURGER(ザ ビヨンド バーガー)」というハンバーグが陳列されている。値段は2個入りで5.99ドル(約650円)とやや高め。パッケージには、290キロカロリー、タンパク質20グラムで「コレステロール0」。主原料はエンドウ豆という“植物肉”だ。近くに住む主婦の新井知華さん(30)は興味津々、買って食べてみたところ、「今まで食べたソイミートなどの植物肉は鶏肉に近い感じだけど、これは牛肉みたい。肉好きの夫もおいしいと言っていました」。

 これは米国のベンチャー企業Savage River(サベッジ リバー)が2016年に開発した商品。改良を重ね、現在店頭に並ぶのはその第2世代という。狙うのは、畜産では将来賄いきれない可能性もあるとされるタンパク質の開発。というのも、日本は少子高齢化でも、世界的には人口が増え、50年にはタンパク質需要は倍近くになるとの予想もあるからだ。ここに着目した同社は「オルタナティブミート(代替肉)」として肉と同等のタンパク質量、カロリーを保ちながら、コレステロールフリーという付加価値をつけた。

●わざと「赤み」を演出

 この試みに注目したのは三井物産。この会社に出資もして、日本への導入も現在検討中だ。「代替肉供給は社会的使命」と話すのは、担当のニュートリション・アグリカルチャー本部の小西波也人さん(46)。まずは東京五輪までに、ベジタリアンや(卵・乳製品も口にしない)ビーガンの訪日客に提供できる態勢を整えるつもりという。

 ものは試し。記者(33)も試食させてもらうことに。同本部の宮本育子さんが会社の食堂で手際よく調理してくれた。

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