●気遣い伝えるスタンプ
「つい先日、友人との食事をドタキャンされたんです。<1週、間違えてた>と昼過ぎに連絡が来た。忙しい人なので、構わなかったんですけど……」(同)
<全然いいよ>と返して、それがお互いのフツーになるのも嫌だし、相手に「申し訳ない」とかしこまらせるのも違う。そこで、あえて怒ってみせることにした。
「<ぷんぷん!>と、かわいく怒っている熊のスタンプを送りました。そのほうが相手も<ゴメンゴメン>と言いやすい」(同)
つまり、スタンプは相手への気遣いまで考えたコミュニケーション上の選択肢なのだ。
本当に怒りを感じたときは、どうしているのか。
「短文で句読点も使わず、文字だけ送ります。『了解。』と『了解』には温度差がある。絵文字や句読点を使わない同世代は少ない。逆に、相手の投稿に、スタンプや絵文字がないと『怒っているのかな』と感じます」(同)
●適度に感情をのせる
文章の背景にある自分の感情を表現するために、スタンプや絵文字を使う。これは、実は非常に合理的な考え方だと、筑波大学准教授の湯川進太郎さんは言う。
「言語は概念を説明するのに向いていますが、心情や気持ちを言語で表現するのは実は難しいんです。普段のコミュニケーションでも、相手の心情は、表情や視線、声音で推し量るもの。文字より非言語的なスタンプや絵文字のほうが、感情を伝えやすいということでしょう」
新しいツールも文字上のコミュニケーションも、適度に感情をのせて、使いこなすことは可能なのだ。(編集部/熊澤志保)
※AERA 2017年9月11日号より抜粋