MIYAVI エレキギターをピックを使わず指で弾く独自の「スラップ奏法」で注目を集める。ベストアルバム「ALL TIME BEST “DAY 2”」発売中(撮影/品田裕美)
MIYAVI エレキギターをピックを使わず指で弾く独自の「スラップ奏法」で注目を集める。ベストアルバム「ALL TIME BEST “DAY 2”」発売中(撮影/品田裕美)
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 何やら聴き慣れぬ音色が近づいてくる。奏者の姿は見えない。正体は、新たな展開をみせているAI(人工知能)。人間と協調して演奏し、わずか数十秒で作曲もするとか。AERA 9月4日号ではAI時代の音楽を見通すアーティストや動きを大特集。

 将棋も囲碁もやられた。相手は“ハイテク黒船”AI(人工知能)だ。ネット上には作曲サービスも次々登場。敵か味方か。ギタリストMIYAVIさんに話を聞いた。

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 AIが人に置き換わって音楽を作る日が来るのか、考えてみたんですけど……来ると思いますね。ただ、それは人の感情を数値化できた時。それは自分たち人間の終わりが始まる瞬間だと思います。作る側のAIが時代に合わせて音楽を発展させられるなら、受け手も人間ではなくなる時代が来る。AIが作曲し、聴く。受け手もマーケット自体も人間だけではなくなります。そうなると、もはや音楽という形態でなくてもいいのかもしれない。考えていると、途方もない話に行き着きました。

 AIは音楽だけでなく人の営みをも変えます。人間自身がやろうとしています。それは人類が無意識に望んでいることなのかもしれない。もしかしたら、今のテクノロジーの進化は、地球に人類が生存できない事態になることを想定し、人類が本能的に生存するために進化しようとしている、その営みなのかもしれない。人間の意識がデジタル化され、いろんな所にインストールされて再現できるようになれば、人類の究極の不老不死の世界になるのかもしれない。子どもに自分のDNAを託すように、もっとずっと先の未来にまで、僕たちの感情を数値化して持っていってくれる。AIはそんな“タイムカプセル”みたいなものになるんじゃないかな。

 これからは音楽の形すら変わると思う。僕たちは音楽に何を見るかというと、人の一生なんですよね。結局は聴く人が「ああ、あの夏、楽しかったな」とか、「好きな人に会いたいな」っていう思いや景色が、音楽とタイアップするから人は感情移入する。

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