キャンピングカー人気が止まらない。街なかでも、高速道路やサービスエリアでも、やたら目にするようになったキャンピングカー。実際のところ、どんなものなの?
梅雨明け直後の週末。東京郊外のモリパーク アウトドアヴィレッジ(昭島市)では小規模なキャンピングカーショーが開かれていた。炎天下の会場には、関東近郊のビルダー(メーカー)やディーラーのキャンピングカーやトレーラーが、ずらり60台以上。会場脇では車中泊大会が開かれ、こちらにも愛好家たちの車が40台以上並んでいる。
お揃いのワンピースと帽子に身を包んだ咲月ちゃん(8)と千智ちゃん(6)は、消防士のパパと、会社員のママの4人家族。愛車は2年前に中古で購入したキャブコンだ。父親の黒尾真也さん(37)も幼いころ、叔父所有のキャンピングカーに乗せてもらったのだという。
「それがすごく楽しかったんです。親になった今、子どもにもそんな経験をさせてあげたくて」
仕事柄、大きな車を運転することに抵抗はない。古い車両だが「天井のクロスは自分たちで張り替えて壁づけ収納もDIY。そんなところも含めて、楽しい」。子どもたちもキャンピングカーは大好き、と声をそろえる。「家にいるときよりも、旅に出るとよくお手伝いしてくれるようになりましたね」と、妻の絵理さん(37)も満足気だ。
●趣味のベースにも
釣りが趣味という諸岡昭一さん(54)、祥子さん(49)夫妻は埼玉県川越市在住。気が向くと静岡の伊東あたりまで足を延ばして海釣りを楽しんでいる。愛車はTACOS社のキャブコン「With525」。
「買ったころ小学4年生だった娘も今は高校生。あまり親と遊んでくれなくなったので、最近はもっぱら夫婦と飼い猫2匹との旅ですね」(昭一さん)
車内後部の常設ベッドが猫たちのお気に入りの場所だとか。ただし、ベッド下が収納になっていて、車外から収納のドアを開けると猫たちが脱走してしまう恐れが。
そこで、ベッド上にはガーデニング用のフェンスをセット。猫を気にすることなく釣り竿やバケツ、折り畳み自転車などを取り出せるように工夫した。キッチンには調理道具がずらり。
「釣った魚もその場でさばけるし、便利ですよ」(同)
ライフスタイルに合わせてカスタマイズする愛好家も少なくない。キャンピングカー歴30年のベテランユーザー、落合和雄さん(69)は、定年退職後の、悠々セカンドライフを満喫中だ。
「先週も1週間、妻とふたりで新潟旅行をしてきました」
ダイネット(食卓)の上に畳を敷き、テーブル下を収納にアレンジ。畳には小さなこたつを置いて和室仕様に。「ガスヒーターの吹き出し口がふさがってしまったので、自分でダクトを延長した」。こんな改造も、長年付き合いのあるビルダーとの信頼関係あってこそ。旅はもっぱら、趣味の札所巡りや温泉が中心で、食事はほとんど外食だとか。
「旅先でまで料理しなくていいよって妻には言うんですよ。だから冷蔵庫もビール冷やすだけ(笑)」
見事な愛妻家ぶり、ごちそうさまでした。