「趣味は何ですか?」。会話の糸口に聞かれることは多いもの。だが、これといって趣味がないと、この質問はプレッシャーだ。SNSにはリア充趣味に興じる様子がてんこ盛り。趣味界は、なんだかんだと悩ましい。インスタ映えを重視して「趣味偽装」する人、趣味仲間から抜けられずに苦しむ人もいるらしい。AERA 7月31日号ではそんな「趣味圧」の正体を探る。
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菅直人、小沢一郎、山崎拓──かつて政局をにぎわせた与野党の重鎮たちが7月13日、参院議長公邸に顔をそろえた。“ポスト安倍”をにらんだ鳩首協議ではない。超党派の「囲碁文化振興議員連盟(議連)」の一員として、韓国の囲碁議連「棋友会」との親善交流対局に臨んだのだ。
日韓の囲碁議連交流は1999年に始まり、日韓関係の悪化で一時途絶。2015年に日本の囲碁議連議員が韓国を訪れて交流が再開し、今回は韓国側の議員が15年ぶりに日本を訪れた。
●囲碁で思慮深い人間に
今年から議連会長を務めている柳本卓治参院議員が囲碁を始めたのは6年前。ともに中曽根康弘元首相の元秘書で、囲碁好きで知られる故・与謝野馨元財務相から勧められた。今はアマチュアの強豪に指導をしてもらい、腕を上げている。
「囲碁は陣地を広げていくゲーム。日本がいかに大きく世界に友好の輪を広げていくか、大局観が磨かれる気がします」
対局すると相手の人格がよくわかり、「おおらかな気持ちになる」と柳本氏は言う。政治的には敵対している小沢氏や菅氏とも親しくなった。会長に就任してから会費を月100円から500円に上げ、初心者を含めて講習会も定期的に開く予定だ。
「いろいろ問題を起こす議員がいます。暇があったら囲碁を勉強したらいい。思慮深くなると思いますよ」(柳本氏)
国会には政策を実現するための議連が多数存在し、一人が100近い議連に参加するのも珍しくない。そんな議連の中には明らかに、趣味のための集まりと思われるものもある。
超党派で作る「自転車活用推進議員連盟」。今年6月、国会議員約20人がおそろいのマークをつけたウェアで自転車にまたがり、国会議事堂から皇居外周を疾走した。自転車好きで知られる会長の谷垣禎一・前自民党幹事長は現在ケガで療養中だが、自転車の利用環境改善をめざす「自転車活用推進法」が5月に施行されたことをPRするイベントだった。
議連幹事を務める岩屋毅衆院議員が自転車を始めたのは5年前。同僚の衆院議員が自転車好きで、ダイエットに成功したのを見て興味を持った。今や東京と地元の大分県にあわせて8台を所有。年200日は朝5時半に起きて自転車を走らせ、体重も7~8キロ減った。