さらに、金融庁が来年スタートする「積立NISA」の投資商品について、ふさわしい投資信託を販売手数料がゼロの「ノーロード型」、信託報酬(運用手数料)が一定水準以下、という条件でふるいにかけたところ、適合したのは公募型投信5406本中、わずか1%未満の50本以下だったという。

 販売手数料で購入時に2~3%徴収されたうえに、銘柄によっては年間2~3%の信託報酬も引かれるため、10年で2割強の資金が「手数料」で消えてしまうのだ。国内投資家にとってお寒い状況だが、実は近隣国にそんなニッポンの状況に一石を投じる異色の銀行が現れている。場所はアジア、香港だ。

●「すべて日本語の対応」

 香港は、英国から中国に返還される前から、自由貿易港として知られ、金融自由化の最前線といわれた地。返還後の香港経済の成長は著しく、中国マネーのメインゲートとして、いまや世界3大金融市場のひとつに成長した。そんな香港の一角にあるのが日系銀行「Nippon Wealth Limited(ウェルスニッポン、以下NWB)」だ。

 ビクトリア湾が一望できる九龍半島の一角、NWBのオフィスは地下鉄ワンポア駅から徒歩2分に位置する「ハーバーフロント」にある。270度のオーシャンビューが自慢の立地で、日本の金融機関とは全く異なる雰囲気が漂う。

 NWBは2015年5月、新生銀行、マネックスグループ、東急リバブルなど、日本と香港10社による共同出資で香港で営業開始した日系の銀行。ここが海外口座開設時の壁に風穴を開けようとしている。

 まず日本人の壁になっている言葉の問題。同行では、口座開設から売買注文や運用報告にいたるまで、すべてを日本語で対応するというのだ。

 過去にも、日本人の口座開設希望者が海外銀行に行列をなした時期はあり、その時々に日本向けサービスに積極的になった金融機関もあった。だが顧客のメインが日本人から中国人へと切り替わるに従い、日本語での対応は限定的になっていった。

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