西島:僕は一応デビューは22、23歳ですけど、器用ではないので、いろいろすごく時間のかかるタイプで。
吉瀬:私は本当に遅いですよ。32歳でモデルから女優に転身した。10代から女優をやる人も多いのに。
西島:吉瀬さんって僕には軽やかなイメージがあった。「私はこれがやりたい」という意志が明確にあって、外には苦労を全然見せずに、軽やかに自分のキャリアを思った通りに積んでいるようで、すごくうらやましいですよ。苦労してます?
吉瀬:してますよ! いろいろあるんです、これでも(笑)。
撮影現場ではNGがほとんどなかったそうだ。
西島:だって出せないですよ。「あ~、いませっかく猫よかったのに!」とか言われますし。
吉瀬:すみません、私が出しちゃってホントに(笑)。
西島:猫たちと一緒だとずっとカメラを回し続けて、一連で演技をする必要がある。普段とまた違う緊張感はありました。
吉瀬 私は第1話で「猫が心配な秀亮が、預けた先の家族だんらんをのぞいてる」シーンがすごく好き。近所の人に「ちょっと、あの人……」とか言われてて笑っちゃうんです。西島さんってそういう役柄あまりないでしょう。
西島:たしかに刑事役とかが多いから。猫が無事に新しい飼い主にもらわれていく展開もあるんですが、これが寂しくて。その猫とも現場で「お疲れさま」となっちゃうので、スタッフもなんとなくしゅんとなっちゃって。
●拳銃は出てこない(笑)
西島:いまのドラマって家族が崩壊していたりとか、殺伐としたものも多かったりしますが、でもこのドラマには誰も悪人が出てこない。昔のホームドラマみたいでいいなあと。
吉瀬:拳銃も出てこないし(笑)。
西島:そう、最後の最後で「猫が誘拐された!」という展開になったらどうしようかと思った。
吉瀬:拳銃渡されて「ほら、犯人追って!」みたいな。
西島:よかったです、そうならなくて(笑)。
西島さんってこういう役柄あまりないでしょう?(吉瀬)
(ライター・中村千晶)
※AERA 2017年7月3日号