豊洲市場移転問題について小池氏は「いつのまにか予算が4千億円から6千億円になっている。都議会がチェックしてこなかったからだ」と語気を強めた(撮影/今村拓馬)
豊洲市場移転問題について小池氏は「いつのまにか予算が4千億円から6千億円になっている。都議会がチェックしてこなかったからだ」と語気を強めた(撮影/今村拓馬)
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 昨夏ほどの熱狂はないが、敵失にも助けられ小池劇場第2幕がスタートした。大量の小池チルドレン誕生が予想される中、その先に見据えるのは国政の大舞台か。

「古い議会を新しくする絶好のチャンスが、今日から始まったわけです!」

 6月23日の東京都議選告示日、勝負カラーである緑色のジャケットに身を包んだ小池百合子東京都知事(都民ファーストの会代表)は、渋谷のスクランブル交差点付近で第一声を上げた。今年実現した議員報酬削減の話では、「公明党さんが協力してくださった。嫌がっていたのは自民党です」と新たに友党となった公明党を持ち上げてみせた。

●準国政選挙の位置づけ

 都知事選の時のように緑の服の支持者がつめかけるような熱気はないが、都民ファースト(都ファ)にとっては強行採決や加計学園問題、議員不祥事まで飛び出した自民党の「敵失」に助けられた選挙戦となった。「街頭演説にあまり立たず、組織固めに走る"ステルス"選挙戦をする自民候補者が目立っている」と自民党関係者は言う。

 自民党から「決められない知事」と非難されてきた市場問題も、都議選を前に方向性を示して争点化を巧みに避けた。「財源の見通しがないまま築地と豊洲の両方を運営するとはどういうことか。都民不在の結論だ」(自民現職)と強い批判も出ているが、一方で、「有権者はすでに豊洲でいいだろうという雰囲気が濃く、都議選に影響はあまりなさそうだ」(前出の党関係者)との見方もある。当面衆院選も参院選もない現状、都議選は国政選挙に準じる扱いとなる。安倍一強体制のひずみが目立つ自民党に対する「お仕置き」票が都ファに流れ込む可能性も否定できない。

「新しい議会」の中核を担うことになる都ファの候補者は平均年齢が自民党よりも10歳以上若く、20代も自民党1人に対して4人いる。そのうちの1人で政治関連サイトを主宰していた新顔の男性(28)は、自民、民進両党が激しく争ってきた1人区から立候補した。

「議会のあり方を変えて、新しい地方政治をつくっていきたい。自民党内で一からやっていくよりもいい環境なのではないかと思いました。駅ごとに少しずつテーマを変えて訴えています」

 すでに50日間あまり駅立ちし、チラシが約1万枚はけた。

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