近年はやりの「腸内環境」を調べたデータも、個人差の幅がさらに大きくなり、判断はより難しくなる。

●アンジーで利用者増加

 判断が難しい検査の最たるものが「遺伝子検査」なのだが、いわゆる「健康」の領域を超えた部分にまで、その活用が期待されている検査でもある。

 遺伝子は人それぞれにわずかな違い(遺伝子多型)がある。特定の遺伝子多型を持っていると「糖質の代謝が苦手」「脂質の代謝が苦手」といった特徴が現れ、それが肥満につながるという。そこで00年代に入ると、特定の遺伝子多型の有無を調べて自分の体質傾向を知り、サプリメントや食材の販売につなげるサービスが続々登場した。08年からサービスを始めているDHCの伝宝幸三取締役はこう話す。

「200種類くらいあるサプリのどれを買えばいいのかという問い合わせが多く、適切なアドバイスをするために始めた。いまは遺伝子の組み合わせにより52種類のサプリメントを調合して提供している」

 遺伝子検査キット「ジーンライフ」を展開するジェネシスヘルスケアは、13年にハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが遺伝子検査で乳がんのリスクが高いとされ乳房を切除してから、利用者が増えたと話す。

 肥満遺伝子を検査する「DIET」などを販売しているが、特に期待を寄せる商品が「Myself2.0」だ。税別2万9800円と高価だが、「社会性」「慎重性」「協調性」など5分野について、60項目のアンケートと遺伝子による分析を行って、「性格や才能を分析」するとパンフレットには紹介されている。根拠としているのは統計学的な調査で、経営者や人事担当者からの需要が高いという。

「見えないパーソナリティーを理解したうえで、チームや組織をつくりたい、要職にあてる候補者として実直な人間を見抜きたい、といったニーズがあります。(自己診断による)適性検査だけではなく、生まれつきの要因も含めて判断することで精度を上げたい、ということです」(同社執行役員の宮部喬史さん)

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