仕事はどんな依頼でも受けようとしました。死体役やハローワークの解説ビデオにも出ました。バラエティー番組に出たのも、この頃です。やってみると発見があったり、新鮮だったり、悲愴感というより、わりと毎日を楽しんでいましたね。借金を完済したのは42歳の時でした。
浮き沈みの激しい人生でしたが、いつも心の支えになっていたのは、13歳の時にかけてくださった、やなせたかし先生の言葉です。先生は「僕は絵も詩もうまくないけど、幸せになることは得意なんだ」とおっしゃる。だから私に「お金持ちや偉くなるのではなく、自分が幸せになることを目指しなさい」って。今は母と夫の3人で静かに暮らしています。母の介護をして4年目。毎日母の食事を作り、私が出演したドラマの再放送を観ながら昔話をする。先生が言っていた幸せの意味がようやく分かったような気がします。
(構成/ライター・内山賢一)
※AERA 2017年4月3日号