大山鳴動して一鼠出ず?
大山鳴動して一鼠出ず?
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 北朝鮮で朝鮮労働党大会が36年ぶりに開かれた。内外の関心を集めたが、特筆すべき変化はなかった。

「大山鳴動して一鼠出ず」とはこのことだ。

 5月6日から9日まで、首都・平壌(ピョンヤン)で開かれた朝鮮労働党大会。最も話題になったのは、金正恩(キムジョンウン)党第1書記の肩書が「党委員長」に変更されたことだ。だが、敬称が変わっただけで、序列や権限に変動があったわけではない。党のトップには変わりはない。

 国際社会が最も関心を寄せていた「核」についても、放棄するどころか、核と経済開発を並行して進めるこれまでの「並進路線」を正当化し、恒久的な戦略路線にすると党規約に定めてしまった。

 一部には金委員長が演説で、「世界の非核化に努力する」と述べたことや、「核を先に使用しない」と宣言したことを評価する向きもあるが、「世界の非核化」という言葉を使ったのは、「核のない世界」の一言でノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領への揶揄(やゆ)でもある。「核なき世界」を「所詮(しょせん)実現できない幻想」とみて、「米国が核を手放すなら、我々も手放す」と言い返しただけの話だ。米国が応じないことを百も承知の上で放った、一種の「ブラックジョーク」である。

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