ピクシブ代表取締役社長片桐孝憲さん(34)10年後のビジョンを「わからない」と答える。「会社の存続を保証するより、会社が揺らいでも生き抜くための経験を提供したい」(撮影/編集部・齋藤麻紀子)
ピクシブ代表取締役社長
片桐孝憲
さん(34)
10年後のビジョンを「わからない」と答える。「会社の存続を保証するより、会社が揺らいでも生き抜くための経験を提供したい」(撮影/編集部・齋藤麻紀子)
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 革新的な商品を生み、ビジネスや業界の常識を変えるベンチャー経営者。そのなかでも若い「81世代」の新常識を追った。

 たとえば50年後、経営の教科書が書き換えられているとすれば、それは「81世代」の仕業かもしれない。

 1981年4月からの1年間にこの世に生まれたベンチャー経営者。彼らの「仕事の哲学」は、大量生産と効率化を追求した先輩たちとは大きく異なる。
 
 81世代の一人、「ピクシブ」社長の片桐孝憲さん(34)。仕事観をこう表現する。

「仕事は、人生の思い出づくりの一つです」

 イラストなどの投稿・閲覧ができるSNS「pixiv(ピクシブ)」を運営する。ニッチな領域ながら、アニメファンなどを中心に世界で1700万人が使う。一日に3万作品が投稿され、毎日約1万人ずつ会員が増え続ける。

 ここで、81世代の哲学その1。チームメンバーの選び方を、片桐さんはこう考える。

「友達と働くのがベスト」

 事実、一緒に起業したのも友達だった。一人暮らしをしていた高校時代、友達が次々と遊びにくるのが楽しかった。起業したのも「こんな楽しい場を続けたい」と思ったから。片桐さんにとって会社は「部室」に近い。

 とはいえ、すでに130人を数える従業員のなかには、友達でなかった人もいる。pixivが好きで、入社を希望する若者も多い。ここで哲学その2、採用基準。

「人間として興味のある人を採る」

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