市民活動の拠点となっているさいたま市市民活動サポートセンター。NPOと市の協働管理運営が注目され、全国から視察も相次ぐ(撮影/編集部・深澤友紀)
市民活動の拠点となっているさいたま市市民活動サポートセンター。NPOと市の協働管理運営が注目され、全国から視察も相次ぐ(撮影/編集部・深澤友紀)

 市民に開かれた場だった公共施設に、自主規制の嵐が吹き荒れている。その動きに「民主主義が揺らぐ」と危惧する声もあがっている。

 2015年10月、さいたま市議会で、市の施設「市民活動サポートセンター」の運営を指定管理者から市の直営にする条例改正案が、賛成多数で可決された。登録している市民団体の一部が「政治活動をしている」というのがその理由だった。提案者の青羽健仁市議(自民)は取材にこう話す。

「政治活動を制限するつもりはないが、公共施設を優先的に利用しながら、というのは違うのではないか」

 同センターは浦和駅前の商業ビル9階にあり、約250席のミーティングスペースは予約の必要もなく誰でも使用できる。登録団体は、一部座席の事前予約やロッカー、メールボックスの使用ができ、青羽氏はそれを「優先利用」と問題視している。

 同センターを運営する認定NPO法人さいたまNPOセンターの村田惠子専務理事は言う。

「社会を良くしたいと思って政治的なことを話し合うことは市民の当然の権利です。今回の件で、利用者から、『私たちは一体どこで地域や国の課題を話し合えばいいのか』という声が届いています」

次のページ