
年齢に関係なく、人は「学ぶ」ことでさまざまなものを手に入れることができる。50代での学びは、キャリアの後編を描く、絵の具のようなものかもしれない。
「自分には専門領域がない」と言う男性(52)は今年、慶應義塾大学の大学院に通い始めた。
現在は大手メーカーで品質管理を担当するが、これまで勤めた会社は、メーカーや金融、ベンチャーなどさまざま。手がけた仕事も、人事や法務、サプライチェーンや財務など幅広い。
「多くの情報や意見を分析・整理し、プロジェクトをリードする能力はある。でも、人事や法務など、通常の組織で語られる専門とは違うため、をうまく説明できなかった」
そんな男性がいま学んでいるのが、「システムデザインマネジメント(SDM)」。複数の専門家といかに協業し、目的を達成するシステムを作るか、を考える学問だ。
複雑化した社会では、ひとつの問題を解決するにも、複数の領域や専門家を巻き込まねばならない。プロジェクトをリードすることが得意な男性は、「これまでの経験を体系的に整理できる」と感じて入学した。一見キャリアの「総括」や「振り返り」にも見える。だが、男性はこう言う。
「授業中に、アドレナリンが出るのを感じる時がある」