今回の就活戦線でもっとも人気を集めていたのはリケジョだったという。争奪戦の背景にあるものとは。
2014年10月。東京・品川の三菱重工業本社で、20代から30代半ばまでの女性エンジニア7人が会議室に集められた。長崎、神戸、滋賀、名古屋、横浜など、全国の拠点から来た彼女たちのミッションは、理系女子、いわゆる「リケジョ」の採用に現場の意見を反映させること。その名も「理系女子採用強化プロジェクト」だ。
近年、企業のリケジョ争奪戦は激化している。左のグラフは、マイナビが今年9月16年卒大学生に調査した内々定率。理系女子は文系女子より9.2ポイント、全体と比べても5.3ポイント高かった。
「ただでさえリケジョは学生数が少ないのに、『重工業は男性の仕事』というイメージが、理系女子学生の採用をより難しくしてきた歴史があります」(三菱重工人事担当者)
そこで招集されたのが、冒頭のプロジェクトだ。女性エンジニアから意見が飛ぶ。
「入社前の採用イベントでは一人も女性社員に会わなかったので、長く働くことを具体的にイメージするのは難しかった」
「育児休業や育児中勤務などの制度が充実していることを、重点的に広報したほうがよいのではないか」
「とはいえ、『女性枠』として数合わせの採用をすべきではないし、学生がそう感じてしまわない工夫も必要」