アンカーベビー。この言葉が今、米大統領選の議論の争点になっている(※イメージ)
アンカーベビー。この言葉が今、米大統領選の議論の争点になっている(※イメージ)
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「生まれくる子に米国市民権という最高の贈り物を」。米国に殺到する中国人妊婦が大統領選で論争の火種になり始めた。

 アンカーベビー。この言葉が今、米大統領選の議論の争点になっている。この言葉、元は中南米(ヒスパニック)系の不法移民が米国で出産した子どもの「蔑称」だった。

 親の国籍に関係なく、米国内で生まれた子は、自動的に米国市民となる。この出生地主義を使い、米国で産んだ子を船の錨(いかり=アンカー)のようにして、合法ビザを持たない両親までが米国に住み着くことを指す。

 しかし、共和党の大統領候補であるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は8月24日、メキシコとの国境に近いテキサス州での演説で、この定義に疑問をはさんで言った。

「いやむしろ、いま出生地主義を利用して、子どもが米国市民権を得て問題になっているのはアジア人だ」

 この発言は、アジア系の怒りを買い、中韓系米国人らの団体が一斉に非難声明を出した。

 背景はあった。数年前から、中国人女性が観光ビザで渡米して出産することが社会問題化。年2万人とも3万人とも言われる中国人女性が米国で出産しているとされる。彼女らを引き受けるマタニティーホテルも次々でき、今年3月にはカリフォルニア州で一斉に捜査された。

「子どもに米国のパスポートを与えることは、最高の教育を与える扉になると考える親が多い」

 こう話すのは、米国で出産した中国人母親らの担当弁護士ロング・リウ氏だ。リウ氏によると、二重国籍を認めない中国でも、米国市民として生まれた子は中国での永住権を取れ、中国のパスポートも持てるという。一人っ子政策の抜け道にもなる。

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