小林氏は6月、衆院憲法審査会で、安保法案は違憲だと主張して、国会審議の流れを変えた3人の憲法学者の一人。安倍氏にしてみれば、敵役である。参院での審議も終盤に差しかかった9月最初の週末、その小林氏が安倍氏のおひざ元で政権批判を繰り広げ、住民から大きな拍手で迎えられたのだ。
後援会の関係者はこう話す。
「いかん。そんなことしてもろうちゃ困る。なんでここで、安倍さんの地元でやるんかと、みんなで話していました」
3代にわたり安倍家を支えた地元に、きしみが生じた。
集まった市民たちは、いったいどんな問題意識を持っていたのか。大きな比重を占めたのは、安保法案への不安だ。
「詭弁とまで言ったらあれだが、都合のいい説明ばかりで、違うんじゃないのと感じることもある」(72歳男性)
「戦前に軍国主義がはびこったのも、長州出身者の役割が大きかったと思っている。そして今も山口出身者。恥だと思う。情けない」(下関市の44歳男性)
※AERA 2015年9月21日号より抜粋