結婚したい。でもできない。世間からのプレッシャーや結婚願望との格闘の末、ついに解脱した勇者たち。「ひとりぼっちの結婚式」の先に見えた景色は──。

「ああ、女の子に生まれて良かった」

 幼い頃から恋い焦がれたウェディングドレスに包まれて、思わず声が出た。その手が握りしめていたのは、これから夫婦になる愛するダーリン……ではなく、ファン歴29年になるシンガー・ソングライター角松敏生のパンフレットだったけれども。

 杉山友子さん(仮名・49)が体験したのは、今話題の「ソロウェディング」だ。結婚の予定はないが、ウェディングドレスは着たい!というアラサー、アラフォー女子たちの願いを叶えてくれる夢のサービスで、主催するのは京都の旅行代理店・チェルカトラベルだ。1泊2日のプランは、京都駅にスタッフが迎えに来てくれるところから始まり、有名ブランドのドレス選び、フラワーデザイナーとのブーケ作り、ホテルで1泊。翌日、プロのヘアメイクとカメラマンによる写真撮影があり、写真はアルバムにして後日郵送される。料金は、平日32万円なり。昨年6月の開始以降、各地の写真館や結婚式場でも、類似のサービスが急増している。

 埼玉県で医療関係の仕事に就く杉山さん。青春を過ごしたバブル期は、25歳を過ぎた独身女性は売れ残りのクリスマスケーキに例えられた時代だ。杉山さんも結婚願望が強く、専業主婦になって家庭に入るのが夢だった。恋愛は本人いわく「肉食系」。しかし20代後半、真剣に結婚を考えていた人に裏切られ、男性不信になったという。40歳を過ぎた頃から、結婚への憧れも年々なくなっていた。

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