田中浩也・慶応大学環境情報学部(SFC)准教授。竹中工務店との共同研究による「ArchiFAB」は椅子など大きめの立体がプリントできる(撮影/今村拓馬)
田中浩也・慶応大学環境情報学部(SFC)准教授。竹中工務店との共同研究による「ArchiFAB」は椅子など大きめの立体がプリントできる(撮影/今村拓馬)

 データで立体物をつくり出す3Dプリンター。一家に1台の時代が来ると、SF的な生活が実現するかもしれない。

 今年1月、ラスベガスで開かれた米最大の家電市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」でも、3Dプリンターブースは、身動きもできないほど熱気にあふれた。最も人が集まったのはXYZプリンティング(台湾)の「3Dフードプリンター」だ。素材はパイ生地や柔らかいペーストで、これをプリンターで成形して、オーブンに入れれば、ハート形のピザや恐竜の形をしたクッキーが焼き上がる。

 「一家に1台、3Dプリンター」の時代は来るのだろうか。慶應義塾大学環境情報学部(SFC)准教授で、自身も3Dプリンターを所有する田中浩也さん(39)は、国や地域の事情によって異なると見る。米国のように家が大きく、近くの店まで車で30分以上かかるような場所では、一家に1台はあり得る。日本のように、家が狭く、コンビニも近ければ、家になくても、コンビニやマンションの共有スペース、近所の図書館などにあれば十分だという。

 どこでプリントするにせよ、誰もが3Dデータを当たり前に使う時代が来る。田中さんはウィキペディアで3Dデータを公開する計画だ。「エッフェル塔」や「コップ」などのワードで検索すれば、言葉の説明とともに、それぞれの3Dデータも出てくるというものだ。

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