子どもに絶大な人気を誇る新幹線「ドクターイエロー」。その人気ぶりと、異彩を放つ黄色の車体の理由を取材した。
6月某日、新大阪駅の東海道新幹線ホームにひときわ目を引く黄色一色の「ドクターイエロー」がすべりこんできた。列車の行き先や種別をあらわす電光掲示板に「ドクターイエロー」と表示されているわけではないのに、列車目当ての親子連れがすでにホームにちらほら。京都府宇治市から1歳の息子を連れてきた女性は、
「この子が電車を見始めてからはじめてドクターイエローの存在を知りました。(自宅から近い)京都駅には少ししか止まらないので、わざわざこのために新大阪まで来ました」
知って間もないにもかかわらず、すでにこれだけの情熱を注がせる。走行ダイヤは公開されておらず、めったにその姿を目にできないことから人呼んで「幸せの黄色い新幹線」。高級列車でも超高速鉄道でもないが人気は高く、ドクターイエローのプラレールの売れ行きは人気上位10位以内に。人気にあやかったわけではないだろうが、関東の私鉄、京浜急行は通常赤一色の車両の色を全面黄色に塗り替えた「イエローハッピートレイン」を今年5月から1編成走らせている。
では、ドクターイエローとは、そもそも一体何なのか。今回編集部は特別に新大阪︲東京間を走るドクターイエローに乗車し、その「実力」に迫った。
ドクターイエローの正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車」。最大、上下あわせて1日400本以上の列車が走る東海道・山陽新幹線区間の設備に異常がないか細かくチェックする「診察医」の役割を果たしている。黄色に塗られている理由は保守用の車両が夜間の作業中も目立つように黄色塗色のものが多かったためといい、営業用の白と青の車両とはっきり区別できるという役割も果たしている。
※AERA 2014年8月25日号より抜粋