アプリのプログラミングからゲーム開発まで。IT技術の習得年齢は年々下がっている。デジタルキッズの育成に企業が取り組み始めた。
ドラゴンクエストXのディレクター、齋藤力さんの講演が終わると、中高生たちから矢継ぎ早に質問が飛んだ。
「モンスター1体作るのに期間はどれぐらい?」「プログラマーが最低限身につけておくべき言語は?」
中高生向けIT教育に取り組む教育ベンチャー「ライフイズテック」と、ゲームメーカー「スクウェア・エニックス」が共催したゲームクリエイター開発キャンプでのひとこまだ。思い思いのステッカーが貼られた愛用のパソコンに向かい、慣れた手つきでキーボードを叩く。アプリ甲子園の出場経験者から初心者まで、さまざまだ。
参加者は7~8人ずつのグループに分けられ、メンターと呼ばれる大学生が指導役としてつく。プログラミングからファシリテートの技術まで、事前に60時間以上の研修を受けているといい、子どもたちをまとめ、動かし、見守るそのスキルはそこらの大学生ではない。
「まずは『さしすせそ』で子どもたちをほめる、というのを大事にしています。さすが、知らなかった! すごい、センスあるね、そうなんだ。もとは、女子が合コンで男子に使うとモテると言われているものです(笑)」
こう説明してくれたのは、ライフイズテックの副代表・小森勇太さん。
「技術力だけで独りよがりのものを作るのでなく、コミュニケーションのおもしろさを知っている人材になってほしい」
という言葉どおり、キャンプにはチームワークが問われる謎解きのゲームなども組み込まれる。キャンプはリピーターが4割と好評だ。高1の女子は、昨夏に初めて参加したITキャンプが「めっちゃ楽しくて」今回も神戸から参加した。
※AERA 2014年6月30日号より抜粋