AKB 48の「選抜総選挙」で渡辺麻友さんが初の1位に輝いた。それを支えたのは、中国のファンだというのだが……。
「我々が、中国のファンが、麻友を勝たせた!」
中国のメディアやネット上は、7日に行われたAKB48の「選抜総選挙」の開票結果に大騒ぎとなった。渡辺麻友さんは今回、中国のファンの「組織票」で、当初有力視された指原莉乃さんを追い抜き、トップに押し上げられたというのだ。
前回のAKB総選挙で指原さんをトップに押し上げたのも中国票との見方が一部流れた。中国ではAKB総選挙で組織票を集めることを「中華砲」と呼ぶ。
渡辺さんの総得票数は15万9854票。中国メディアによると、そのうち中国からおよそ3万6千票が投じられた。これが本当なら渡辺票の2割を超える。2位の指原さんとの差は約1万8千票。指原さんにも中国から投票されたというが、渡辺さんへの票数とは比べようもなく、「勝負を決めたのは中国人だ」(新京報)ということになる。
しかし、そもそもなぜ中国からAKBの総選挙に参加できるのだろうか。AKBの管理・運営を行うAKSは、一切のコメントを控えている。
総選挙への参加資格はファンクラブ会員やモバイル会員など複数の方法で得られるが、最新シングル「ラブラドール・レトリバー」のCDケースに入った投票シリアルナンバーによる投票権が利用されたようだ。
中国紙の報道を総合すると、票集めの中心を担ったのは中国最大の検索サイト「百度(バイドゥ)」が運営する、「渡辺麻友吧」という渡辺さんのファン向け掲示板だ。
麻友吧は2月27日、資金集めを開始する。資金管理係2人、日本方面の担当者3人、投票チーム21人、投票権の管理係40人など総勢80人の大がかりなチームが組織された。
最初に大手買い物サイト「淘宝(タオバオ)」で専用の架空商品を発売し、ファンたちに購入させた。集めた代金をもとに日本の麻友吧のメンバーが手分けをしてヤフーのオークションなどに出ている投票権を購入し、シリアルナンバーのコピーを中国にデータで送ったという。
6月8日、麻友吧は投票データを公表し、3万6千票を投票したとファンに説明した。日本での取得価格は平均で1票およそ800円(約50人民元)だったらしく、180万人民元という費用がかかった計算だ。麻友吧によれば、実際に投票に参加した人は2千人ほど。「富裕層」の大量購入もかなり貢献したようだ。
中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の 筆者のアカウントで「なぜ中国人は渡辺さんを支援したのか」と聞いてみた。すると結構ツウな反応が返ってきた。
「麻友は長年頑張っているのに、大島や指原に比べて運営側に重視されていない」
「今回トップをとれないと麻友はAKBを辞めると思った」
渡辺さんが途中の速報で2位だったことから、一気に同情論が加速したようだ。
※AERA 2014年6月23日号より抜粋