東京モーターショーで展示された軽自動車。写真はスズキ「アルト エコ」 (c)朝日新聞社 (撮影/大和田武士) @@写禁
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ダイハツ「ムーブ」 (c)朝日新聞社 (撮影/大和田武士) @@写禁
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ホンダ「N-WGN」。性能も燃費もスタイルも良くなって、「軽で十分」というユーザーが増えている (c)朝日新聞社 (撮影/大和田武士) @@写禁
ホンダ「N-WGN」。性能も燃費もスタイルも良くなって、「軽で十分」というユーザーが増えている (c)朝日新聞社 (撮影/大和田武士) @@写禁

 与党が軽自動車税の増税を決定した。軽のユーザーは女性や低所得者、地方に多い。スズキの鈴木修会長兼社長は「弱いものイジメ」と抵抗したが、自民、公明両党は結局、5割の増税で来年度の税制改正大綱をまとめた。「完敗です」と鈴木氏。年間7200円の軽自動車税は、2015年4月以降に買った新車から1万800円になる。

 敗因はいくつかある。一つは自動車業界内部の事情だ。

「今年は自動車工業会の大名行列が見られませんでしたね」

 自民党国会議員のベテラン秘書は指摘する。税制改正の季節になると、自動車業界は自工会会長を先頭に各社の社長らが、大名行列よろしく議員会館を回る。しかし、今年は副会長の経済産業省OBが業界を代表して回った。自工会会長であるトヨタ自動車の豊田章男社長は、個別に有力議員を訪問した。

「軽増税反対はスズキとダイハツ(トヨタ系)だけ。トヨタは容認の雰囲気でした」(自民党関係者)

 これには00年からの伏線がある。トヨタの奥田碩会長(当時)は、自工会会長に就くと、抱負として「軽自動車を含む税制改正」を挙げた。軽への優遇を廃止し、普通車と同じにしようという意見だ。軽メーカーが「自工会はメーカーの団体。トヨタの都合で税制を変えるなど会長の職務を逸脱している」と猛烈に反発し、実現はしなかったが、トヨタなど普通車メーカーにとって、軽は「目の上のタンコブ」なのだ。

 国内に8社ある乗用車メーカーで、軽を生産するのは4社。生産台数はダイハツ、スズキの2社で6割を占める。その軽が、新車販売全体の4割を占めるまでに成長した。普通車メーカーとしては穏やかではない。

「馬力を増すなら排気量、居住性なら車体を大きくということができる普通車メーカーは、軽をつくれない。限られた条件で高い性能、居住性と低コストを実現する軽とはモノづくりの手法が全く違う」(国土交通省OB)

AERA  2013年12月23日号より抜粋