「40代でも出産したという有名人の情報を聞いて、卵子老化の現実に向き合っていない女性が多いことが問題」と、医療関係者は口をそろえる(撮影/写真部・山本友来)
「40代でも出産したという有名人の情報を聞いて、卵子老化の現実に向き合っていない女性が多いことが問題」と、医療関係者は口をそろえる(撮影/写真部・山本友来)
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 今、一部の女性たちの間で話題になっている「卵子凍結」。妊娠しやすい20代のうちに卵子を凍結しておくことで、不妊のリスクを減らす試みだ。しかし、卵子を保存しても、今度は精子が見つからないという問題もある。

 卵子を凍結した場合も、一般的に自然妊娠がギリギリ可能な45歳までに出産するのが望ましい。それまでに、結婚相手を探す方が難題だというのだ。10年の第14 回出生動向基本調査によると、交際している異性がいない未婚女性は、30代前半で53%、30代後半では実に68%にのぼった。

 妊娠のパートナーを見つけることはかくも難しい。やむにやまれぬ選択をしたのは、都内の独身女性(45)だ。2年前、43歳の時にこんな募集告知をネットに掲載した。

「精子ドナー求む」

 子どもがほしいと真面目に考えていて、その思いを尊重して真剣に協力してくれる男性を探していること、子どもができた際の金銭的義務は全く生じないことを説明した。

 そのうえで、相手の経歴などを自己申告してもらった。病歴、学生時代の専攻科目、現在の仕事に満足しているか、人生を楽しんでいるか、子どもができた場合には自分が父親であることを明かしたいかどうか…。

 数週間のうちに40人ほどから連絡があった。文面から真面目に協力を考えてくれる男性がいることもわかった。妻が不妊でなんとか子どもがほしいと思っている人、結婚には興味がないが子どもは見てみたいという人など、様々な人がいた。その中から10人弱に連絡をとって、実際に会った。話してみて好感が持てた男性に、セックスして精子を提供してもらうことを承諾してもらった。

 女性は自分の基礎体温を測り、排卵日検査薬を使って排卵日を予測し、その前後に男性に依頼して、ホテルなどでセックスをした。ホテル代や交通費など実費はほぼ彼女が払った。結果的に4人の男性と試したが、妊娠には至らなかった。

「私のやったことは、まさに『個人精子バンク』。切羽詰まっていたし、他に方法がなかった。海外の精子バンクでは、手間や時間、費用がかかり、ドナーの人柄まではわからないので、自分で動くしかなかった」

AERA 2013年8月5日号