最近、同じ公立小学校の間でもその学習内容に違いが出てきているという。そのため、目当ての学校の学区を基準に住まいを選ぶ家族もいるようだ。
6年前に完成した東京都内のある大型マンション。建物のほとんどの部分は隣の区に立っているが、エントランスは杉並区内にあるため、住所も小学校区も杉並区になった。その結果、「杉並は教育熱心らしい」と感じていた子育て世代が購入の背中を押されたようだ。
公立小学校で学ぶ内容が、住んでいる地域や学校によって違うらしい。そんな噂や評判によって住所を移す人は少なくない。私立のように受験するわけではなく、子どもを通わせたい学校の学区に住めばよいからだ。
「最初に狙ったのは隣の杉並区。隣接する区の中で一番評判が良さそうでしたから」
都内に住む自営業の女性(36)はマンションの契約更新に合わせて、3年生だった娘の通う公立小の学区内の賃貸に引っ越すつもりだった。しかし昨秋から学校に対して不信感が募っていた。
「高学年のクラスを見学すると、授業中にトイレやロッカーに行くという理由で立ち歩く児童がいる。すでに塾で習っている内容のせいか、おしゃべりも多くて授業が成立していなかったんです」
女性が住んでいた区は中学受験が盛んで、高学歴な保護者も多い。今年も6割以上の児童が、地元の公立中学ではなく受験した中学に進学した。しかし娘は中学受験をしない。塾に通わない子は少数派だからといって、学校の勉強をおろそかにはしてほしくなかった。
そんな時、耳に入ったのが「小学校には区が採用した熱心な先生が多く、公立の中学もレベルが高いエリアもあるらしい」という杉並区の噂。転校を視野に物件を探し始めた。結局は別の区に引っ越したが、未練はある。
※AERA 2013年7月1日号
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