「50年後の日本」がどうなっているかを、<日本の自然と日本人の夢>というテーマのもと、見る者を包みこむ迫力ある映像で提示した。当時のパンフレットには<50年後の日本を、驚異の新技術でえがくスペクタクルショー>と紹介されている。映像は円谷英二ら東宝の「ゴジラ」シリーズを手がける面々が作りだした。
来館者は、動く歩道に乗ってスクリーンが張り巡らされた部屋を移動しながらテーマに沿った映像を見て、「50年後の日本」へと時間旅行体験をする。
「自然」をテーマにしたエリアでは荒れ狂う海と火山の映像。大きな波や雷、火山の大爆発、天変地異が来場者に襲いかかる。続くテーマは「空」。スクリーンの景色は一転して宇宙空間へ。宇宙ステーションから眺める地球が描かれ、日本に接近する大型台風を「ロケット隊」が薬剤を投下して“制圧”する場面が描かれる。海底農場や海底発電所など海底都市が発展する「海」、コンピューターによりオートメーション化された未来の住宅での暮らしが描かれた「陸」のエリアもある。
長じて“万博コレクター”となり、現在は講演活動にいそしむ白井達郎さんは当時、高校1年生。太陽の塔と並び、未来館は少年雑誌でもよく取り上げられていただけに、わくわくしながら入場した。「映し出される映像は見たこともないのに、その場につれていかれたような感覚に包まれた高揚が忘れられません」
未来館のパンフレットは<50年後のあなた>として50年後の家庭や住宅、学校(教育)、病院といったテーマ別に記した。
<…会社内の業務は、完全にオートメーション化され、ボタン一つで、すべてが操作できるようになる…>というのは、まるでIT社会の到来を言い当てているようだ。
<…学年別進学制から、科目別進学制に変わり、個人の能力をのばす…>というものも、単位制の概念に近く感じる。
<…天候は自動調整されて、人工照明により、栽培日数は短くなり能率的で生産力は増大する…>というくだりは、現代の季節を選ばない農業とも重なる。
今も夢物語のような予測もある。
<…家事は、すべて機械がやるために、主婦は電子チェアにすわって、家事プログラムに合わせボタンを押すだけとなる…>
<…伸縮自在の高速通勤列車出現によって、通勤ラッシュは解消…>
<…ガンは、もちろん克服され、交通事故の時以外は、手術を必要としなくなる…>