電気通信館で公開され、「夢の電話」といわれたワイヤレステレホン (携帯無線電話機、大阪府提供)
電気通信館で公開され、「夢の電話」といわれたワイヤレステレホン (携帯無線電話機、大阪府提供)
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独特の外観をした三菱未来館(下)と「2020年の世界」を示した同館の内部 (大阪府提供)
独特の外観をした三菱未来館(下)と「2020年の世界」を示した同館の内部 (大阪府提供)

 新型コロナウイルスの影が、世相を暗く覆う。気候変動に超高齢化、崩れた成長神話。希望に満ちた未来など、いま、とても語り合えるものではない。でもあのころは、ぜんぜん違った。6422万人が集った、日本万国博覧会(大阪万博)の開幕から3月15日で50年。

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 大阪万博は千里丘陵330ヘクタールを舞台に、1970年3月15日から183日間、開かれた。「人類の進歩と調和」をテーマに77カ国が参加。総投資額約1兆円をかけた壮大なイベントは、50年後の現代に多彩な“遺産”を残している。

 たとえば、スマートフォンの祖先ともいうべき、「ワイヤレステレホン(携帯無線電話機)」は、電気通信館でお披露目された。移動手段として使用された「動く歩道」は、新宿の東京都庁付近や空港通路などで定着した。来場者の移動やパトロール用に会場内を走った「電気自動車」も、エコカーとして進化を続けながら普及しつつある。

 大きなインパクトを残したのが、サンヨー館の「人間洗濯機(ウルトラソニック・バス)」だ。カプセル型の「浴槽」に入ると、ノズルから温水が噴き出し、超音波の泡で体を洗ってくれ、最後は温風で乾燥までという約15分間の工程だ。こうした技術は介護用の浴槽に生かされたほか、メガネ洗浄器にも応用されているという。

 太陽の塔の腕を抜けたあたりで「空中展示」されたのが、建築家・黒川紀章発案の「住宅カプセル」だ。カプセル式の「部屋」の中に住宅の機能をユニット的に組み込んだもの。その発想は現在のカプセルホテルの源流とされている。現在も東京・銀座に残る中銀カプセルタワービルは、それを発展させ集合住宅として積み上げたような形で72年に完成した。

 ケンタッキーフライドチキンは万博会場が日本初上陸。ロイヤルホストで知られるロイヤルホールディングスはカフェテリアやステーキハウスをお披露目。UCC缶コーヒーは発売翌年で、会場で缶コーヒーを飲む様子が注目され、注文が急増したという。

「1970年から見た2020年」

 当時から半世紀あとの世界を、臨場感をもって示したパビリオンがある。三菱グループの「三菱未来館」だ。

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