室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
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イラスト/小田原ドラゴン
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 作家の室井佑月氏は、新型コロナウイルス感染拡大防止への対策を打ち出す安倍首相や政府へ、不安を露わにする。

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 新型コロナウイルスの感染拡大防止策をめぐり、安倍首相が2月29日に会見を開いた。

 あの会見で、「不安感が薄まった」「やっぱり安倍さんじゃないと」といえる人は、どのくらいいるか? やみくもに安倍首相を応援する人はどのくらいいるのか? それらの人が大多数であるのなら、この国はもうダメなんじゃないかと思った。イベントなどの中止か延期、縮小や学校の臨時休業を要請したわけだもの。あたしはその理由をきちんと知りたかった。なぜ、これから1、2週間が国内感染のピークになると思われたのか。

 だって、そうでしょ。この1、2週間が感染拡大を防ぐ瀬戸際といっているんだから。

 でも、そこについての明確な説明はなかった。というか、安倍首相は「専門家の皆さんの意見を踏まえれば」といっているけど、専門家会議で「これから1、2週間が瀬戸際」という言葉が出てきたのは、24日のことだ。首相が会見したのは29日なのだから、専門家会議のいってることが正しければ、1週間と見積もっているならあと2日間。2週間と見積もっているなら、あと9日間ということになる。この辺りをざっくりされると、行動制限を受け、困る人がもっとたくさん現れると思われる。

 国民の行動制限を要請するというすごいことをしているのに、根拠もあやふやだ。ひょっとして、1、2週間経ってもまた1、2週間といわれるかもしれないし、1、2週間といってしまった手前、感染者が増えているのに国は少なく見積もろうとするかもしれない。そんな風に思い、29日の会見で、あたしの不安感は増した。

 休職に対して、具体的な助成金をいくら出すのかもはっきりせず、「中小、小規模事業者の皆さんが直面する課題について、その声を直接うかがう仕組みを作り」って、NHKがまるで国が補助金を出すかのように報じたけど、国が資金繰りを支援するだけだ。

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