ところが、この原稿を書いている27日に、安倍首相は全国の小中学校、高校、特別支援学校を3月2日から休校にするよう要請したと発表した。新型コロナウイルスの感染が拡大する、という恐れを抱いたからである。安全対策のために規制を強めるのはよいが、全国の小学校を休校にしたら、共働きの家庭などはどうすればよいのだろうか。両親のどちらかが会社を休まなければならないのか。

 26日に打ち出したイベントなどの中止の要請は、いわば逃げの姿勢であったし、どうも、安倍首相の対策の打ち出し方は、重要な部分が脱落している。

 それにしても、新型コロナウイルスの感染はいつまで、どこまで拡大するのだろうか。日本の企業では電通や資生堂、ユニ・チャームなどが、会社に出社させず自宅でテレワークさせることになった。今後、こうした企業は増えるであろう。もちろんテレワークだから企業の業績が落ちるということはないだろう。

 だが、中国では多くの企業が休業状態になっている。中国に進出している日本企業も休業せざるを得なくなっている。中国から部品が入ってこないので、工場を休業にしなければならないケースも出始めている。

 それに、インバウンドの外国人客が来なくなったので、観光地のホテルや旅館は大困惑している。経営破綻(はたん)した旅館も出ている。日本の経済、いや世界各国の経済にどれほどのダメージとなるのだろうか。

週刊朝日  2020年3月13日号

[AERA最新号はこちら]