内館:またァ!(笑)
北の富士:死ぬまで呑兵衛で助平で、と思ってたんだけど、どうやら限界はあるみたいですね。このトシになって気づきました(笑)。
内館:誰も信じない!
北の富士:いやいや、11月の九州場所に行けば毎晩中洲に行ってましたが、こないだは2、3回。それも夜9時になったら「帰るわ」って。
内館:それでもこうやってダンディーで元気に見える。
北の富士:見栄っ張りですからね。弱みはあまり見せたくない。見栄と突っ張りで生きてきました。
内館:小林旭さんからメールで年賀状をいただきましたが、お若い80代ですよね。
北の富士:お若いですよ、声も出るし。朝からステーキ食べるってね。やっぱり肉を食べよう(笑)。
◆
内館:これからやりたいことってありますか?
北の富士:やりたいことは、もうだいたいやってきたと思うんですけど、もう一回狂い咲きしてみたいというか、パッと派手にやってみたいですね。フフフ。
内館:そういえば船村徹先生に、増位山の歌の詞を書いてくれないかとお願いされたとき、一曲を「北の富士さんとのデュエットはどうでしょう?」って言ったんですよね。「女房に捧ぐ」というタイトルで、ちょっと怖い内容だったけれど、いい歌でしたよね。
北の富士:そうかなぁ。詞はよかったけれど、僕の気持ちがこもってなかったんじゃないかなぁ。
内館:またそうやってカッコつけて(笑)。詞は妻の視点から「今まであんた、いろんなことやって遊んできたわよね、ちゃんとわかってるのよ」って。これを増位山と北の富士という両遊び人がデュエットするっていう(笑)。その詞を見て船村先生もびっくりしていましたけれど、「絶対いけます!」って胸を張ったら曲をつけてくださって。レコーディングのときも、本当に面白かったですよねえ。
北の富士:増位山は基礎ができててうまいからいいんだけど、僕が歌えないんですよ。船村先生がピアノのところに来て、何回も歌わされて。最後に一言、「北島(三郎)だったらすぐやるんだけどな」って(笑)。サブちゃんと一緒にされても困りますよね。
内館:だけど、出す頃に相撲界の不祥事が……。こんなときに元横綱や大関が浮かれてるって思われると困る、となって自粛ムードになり……。作詞も作曲も横綱審議委員だし(笑)。
(構成/本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2020年1月31日号より抜粋

