2020年1月2、3日に開かれる第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)で、青山学院大が2年ぶりの総合優勝を目指す。「やっぱり大作戦」を作戦名として発表した原晋監督は「やっぱり4年生は強かった、と言われるように」と、最終学年の選手たちに期待を寄せる。
前回は4年生が強さを見せた。3区を区間新記録で走った森田歩希(GMO)や、小野田勇次(トヨタ紡織)、林奎介(GMO)らだ。
今季の主将は、前回10区を走った鈴木塁人(4年)。こう打ち明ける。
「4年生の中には優勝にふさわしくない態度をする部員もいました。本気で一緒にやっていく気があるのかを説き、厳しい選択を行いながら、チームをまとめてきました」
主将という立場になり、これまでは何となく見過ごしてきたことも、「それではいけない」と思うようになったという。チーム内の問題点はそのままにせず、指摘するようにした。
「厳しいこともお互いに言い合うようにしました」
チームがまとまってきたのは夏ごろ。それまでは、自分自身が「いっぱいいっぱいだった」と話す。チームを優勝に導くため、主将としてどう行動すればいいか。それを見つけるのに時間がかかったという。
たどり着いたのは、チームを変えようとするのではなく、自分が変わればいいということ。それがわかり、楽になったという。
「自分が頑張ることによって、チームがもっともっといい雰囲気になる、と気づきました」
自分が変われば、他の4年生も変わる。4年生が変われば、チームも変わる。そう考えた。
そんな鈴木に、同期の谷野航平も続いた。
「いかに自分たち4年生がこの1年間で力をつけてチームを引っ張れるか、を意識してこれまでやってきました。その結果、4人の4年生の選手がエントリーできたと思っています。皆、調子も上がっています」
吉田祐也(4年)も、練習面で下級生の模範になれるように長い距離を走った。中村友哉(4年)は、勝ちにこだわった練習をした。
4年生たちの姿に、後輩たちが刺激を受けた。
父親も箱根路をかけた新号健志(3年)は、
「少しでも先輩たちに近づける走り、をテーマにやってきました」
と明かす。初めてエントリーメンバー入りした早田祥也(2年)は、
「1年生から2年生に上がり、練習でふがいない走りをしてはいけないというふうに考えて、ポイント練習などでは、しっかりとした走りで後輩たちに姿で見せようとしました」
宮坂大器(1年)は、
「先輩の刺激になるような、結果や走りを同期の仲間と切磋琢磨(せっさたくま)してやってきました」
と話す。
このようなチーム改革を見てきた原監督は意気込む。
「夏合宿を経てチームは4年生を中心に大きく成長しました。やっぱり4年生良かった。やっぱり青山学院を応援してよかった、とそんなふうに大手町でゴールシーンを皆様方にお届けしたいです。やっぱり大作戦、大成功を収めます」