「宮崎容疑者は性格異常であって心神耗弱ではない。責任能力があると判断できるだろう。私見だが、価値観の多様化があおり運転の背景にあるとみている。自分の行動や考え方を絶対視して変えることがない。それと男性加害者の隣には大抵、女性が同乗している。ありていに言えば『ええかっこしい』であおり運転に走る」

 この事件があおり運転厳罰化の流れを作ったと言える。警察庁は、あおり運転の厳罰化などを盛り込んだ道路交通法改正案について、来年3月中の閣議決定を目指して検討を加速している。今回の改正では「通行の妨害目的で一定の違反により交通の危険を生じさせる恐れのある行為」をあおり運転と定義する方針だ。そして「一定の違反」には、現在適用している車間距離保持義務違反や進路変更禁止違反などが含まれる。

「あおり運転の定義づけが一番難航するだろう。規制を強くすると逆に現場の捜査にブレーキがかかってしまう。つまり立件のハードルが上がってしまう」(警察庁関係者)

 違う意味で世の中を動かした宮崎容疑者はいま留置場で何を思うか。(本誌・野田太郎)

週刊朝日  2019年12月27日号